山陰本線松崎駅を降り、駅前の道を右方向へ100mほど進むと、理容店を示す表示が見えてきます。その手前に手書きの表示、「寿湯入口」と書かれた札が目に止まります。さらに1mに満たないと思われる通路の入口には寿湯通路の文字が。荷物が壁と擦れ合うのを気にしながら進むと浴舎が現われます。
こげ茶色のトタンが貼られた浴舎は、地元の方以外訪れる人もないような場所にあります。戸をあけて中へ入ると無人の番台の側に、呼び出しボタンがあり、これを押します。暫く待つと脱衣所や浴室のあかりをつけながら、女湯の方から女性の方が番台の側へ近づいてきました。料金を渡し、脱衣所に入ります。
木製の長椅子などが置かれた空間の壁には昭和9年の許可書のような書き付けが掲示され、昭和の時代にタイムスリップしてしまいます。湯の使用形態を表示した貼紙には、加水なし、加温なし、循環なし、消毒なし、入浴剤なしの旨が示めされています。
浴室は4畳半ほどの空間で、補修を重ねられた水色の浴槽が寿湯の時間を語っています。透明の湯が温泉成分で変色した大きめの蛇口から常に注がれ、浴槽は激熱の状態です。仕方なく加水し適温に調整します。
無色、無臭の湯に際立つ特色はありません。透明感だけが際立ちます。内側にもきめ細かいタイルが施された浴槽は深目に設定され、踏み込みに腰掛け身体の芯までぬくもるように仕掛けられているようです。
鳥取への旅に際し訪問を決めた寿湯、残され、守られ、提供されてていることに驚きを感じながら、ひと時を過ごさせていただきました。
注がれている湯は掲示から、共同管理されている湯元から配湯されているものではないかと推測されます。
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東郷温泉 寿温泉
鳥取県東伯郡湯梨浜町旭404
含弱放射能泉ーナトリウムー塩化物硫酸塩温泉(東郷温泉混合泉)
70.5℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
200円
8:00~20:00
休:第1・3月曜日
2013/2/23