伊香保温泉の長い石段が賑わいを増すあたり、古びた木造3階建ての宿が石段に沿い建っています。
開け放たれた玄関から声をかけると、普段着の初老の女性が出てこられました。入浴の旨を伝えると快諾。
浴場は左手奥です。変形の脱衣所は狭隘で、複数の人が同時に利用するのは厳しい広さです。戸を開けると浴室。
窓辺に面してはいるものの、昼下がりの浴室内はやや暗く、長い時間を刻んだ印象を受けます。床のタイル、浴槽のタイル、壁のタイルはそれぞれの原色を失い、温泉成分がその原因者であることをうかがわせます。
浴室は、家庭用より少しばかり広い程度の空間です。
湯口はヒョウタンの焼き物の下にあり、絶えず供給されています。
湯は薄く土色に濁り適温、浴槽の底は見えません。口に含むと酸味を感じます。
浴槽は手 前が湾曲し、淵は土色に変色し侵食されています。少し開けた窓からは、通りを歩く観光客の声が聞こえてきます。
湯上り、「2階にお茶を用意しています。どうぞ」と温かい声、お茶とお菓子をごちそうになりました。
2階は石段に面していて、開け放たれた窓からは貰い風が入り込んできます。額の汗はいつの間にか消えていきます。
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伊香保温泉 柏屋旅館
群馬県渋川市伊香保町伊香保12
0279(72)2050 HP
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉(総合湯)
41.6℃
シャンプー類あり
内湯
500円(貸切で利用)
営業時間要確認
2014/7/20