湯ヶ島温泉 瀬古の大湯(世古の大湯)

伊豆半島を南北に走る国道414号の途中、伊豆市湯ヶ島は山間地の風景の中にある。数件の温泉宿が存在する。緑は深く物静かで散策が似合いそうな温泉地だ。




国道から県道59号に進み、猫越川に架かる世古橋を目指す。橋を少し過ぎると左手に電話ボックスがある。その敷地にはバス停と駐車スペースがある。車はこの場所に駐車できる。浴舎は細い階段道を降りた先にある。浴舎の入口には赤い料金箱が用意されている。100円だ。

手前が男湯で、脱衣所には木製の棚、長椅子が置かれるだけだ。12時前、先客は2人、会釈して浴室へ入る。正面に浴槽、左の壁に洗い場が配置されている。洗い場の蛇口からは水が出る。湯は浴槽からくみ上げて使用する。




浴槽は2槽に分かれ、湯口のある左の浴槽が僅かに大きめ、溢れた湯が流れ込む右側の浴槽は少し小さい。右の浴槽を溢れた湯は洗い場へ流れる。湯口のある浴槽の湯は熱め、右の浴槽の湯は適温だ。無色で透明の湯は浴感に癖がない。手にすくってみる。これといった臭いもなく味もない。素直で素朴な印象を与える。




立ち上がると浴槽の上にある窓から流れる川の風景を眺めることができる。緑深い風景に心落ち着く。湯に身を沈めると風景を眺めることはできないが、川の流れる音、鳥の声、蝉の声、風のささやきが聞こえてくる。自然に抱かれていることを感じ得る場所だ。


湯ヶ島温泉 瀬古の大湯(世古の大湯)
静岡県伊豆市湯ヶ島瀬古の滝1964
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉
46.9℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
100円
11:00~21:00
2016/8/1

熱海温泉 山田湯

熱海市には共同浴場が残っている。
市役所から南西へ10分ほど歩くと和田川と出合う。橋を過ぎ最初の枝道を右へ入る。坂道を100mほど登っていくと右斜めへ下る細い道がある。そのまま進むと民家とつながった浴舎が見える。




15時30分、鍵が開く。入ると番台が迎える。籠に料金を入れる。脱衣所には木製の棚、長椅子が置かれている。季節がら扇風機が回る。比較的広い空間だ。透明ガラス戸の向こうには浴室が見える。

右手壁に沿い浴槽、左手窓に沿い洗い場が配置されている。脱衣所、浴室とも長い年月を重ねてきたことが一目でわかる。昭和の風景が懐かしい空気を生み出す。




浴槽は幾度も補修がなされているようだ。大切に管理されてきたことが窺える。黒いタイルが淵を包み、内部は水色のタイルが貼られている。満たされる湯は透明で一切の色はない。臭いもなく特段の味も感じ取れない。湯口に取り付けられたホースは湯面下に伸び自由に湯量を調節できる。熱ければ加水も可能だ。



浴槽側の壁上部には富士山がタイルで描かれている。午後からの営業開始後、誰一人訪れることなく、壁の富士山を眺めながら贅沢な貸切の時間が過ぎていった。

入浴に際して浴場の方からは自由に湯を出して温度調整をしてよいと笑顔でアドバイスをいただいた。暖かい言葉が嬉しかった。道に迷い汗を流したどり着いた甲斐があった。




熱海市水口町にも2つの共同浴場、水口第一共同浴場、水口第二共同浴場が存在していたが、すでに閉鎖していた。共同湯の風情を今に残すのは山田湯のみと言えるのかもしれない。



写真はそれぞれ水口第一、水口第二共同浴場の今で、建物は残されていた。


熱海温泉 山田湯
静岡県熱海市和田町3-9
0557(81)9635
泉質不明
泉温不明
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
300円
8:00~11:00・15:30~21:00
2016/7/31

熱海温泉 湯之宿おお川

熱海は急峻な傾斜が海まで続く。民家や商店、宿は傾斜地の限られた場所に建つ。
JR東海道来宮駅前から坂道を南へ下ると、初川の袂に白壁の宿が立つ。立ち寄り湯は原則当時午後からの予約が必要で、15時から入浴できる。




ロビーに入ると右手に小さな受付がある。浴場は左手にソファーが並ぶ部屋を右へ抜けた奥である。手前に貸切湯その先に男女の浴場が配置されている。男女の浴室は日によって入れ替えがあるようだ。この日、最も奥まった場所の浴場が男湯だ。

コンパクトな脱衣所には藤籠が棚に置かれ、洗面台にはアメニティーが揃う。透明ガラスを通して浴室が見える。浴室もコンパクトだ。正面窓側に浴槽、脱衣所の壁に面して洗い場が並ぶ。浴槽の淵は檜で飾られ、透明の湯が注がれている。この季節にはやや熱めだ。印象を深くするような臭いや味は感じない。肌がハッとするような浴感もない。至って素直な湯だ。浴槽に身を沈めても、ガラス越しに植栽された坪庭を楽しむことができる。




宿には貸切湯がある。竹を庭に配置した露天の湯だ。与えられた利用時間は45分である。脱衣所は2・3名の利用を念頭に置いたスペースが確保されている。脱衣所と浴室は仕切られているが、大きい透明ガラス越しに露天の風景を一見できる。




浴槽の2方を竹林が囲み神秘的な情緒を醸し出す。檜が淵に用いられた浴槽には湯口から少量の湯が掛け流されている。内湯同様に無色透明で個性のあるような臭いも感じ取れない。源泉温度は高いため、少量の湯が注がれているのかもしれない。



洗い場は2か所用意されている。鏡は備わらない。シャンプー類は贅沢に揃う。
浴槽内部は平石が敷き詰められている。明るさを持った落ち着いた色合いだ。淵の下部には飾りが施され、宿の拘りが窺える。




竹林に囲まれているため熱海の風景を眺めることはできないが、独特の空気が漂う。


熱海温泉 湯之宿おお川
静岡県熱海市水口町11-32
0557(81)6288 HP
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(7源泉混合)
78.1℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯 貸切露天
1200円
1500円/人/45分
15:00~23:00
2016/7/31

蒲田黒湯温泉 ホテル末広

東急蒲田駅の南出口にビジネスホテルが建つ。昭和の印象を覚える建物だ。入口付近に掲げられた看板から温泉を提供していることが分かる。




入ると正面に受付がある。こちらで利用の手続きを行うと、ロッカーの鍵が渡される。男湯は向かって左だ。ステンドガラスのような飾りが用いられた扉を開けると脱衣所だ。
履物を箱に入れる。指定の脱衣ボックスを開け衣服をしまう。脱衣ボックスは扉の中央部が透明で、中の様子が分かる。洗面台にはドライヤーなどが揃う。透明ガラスの向こうは浴室だ。




中央に浴槽、左手に洗い場が並ぶ。左手奥にはサウナが用意されている。湯口は2つある。ライオンの口から供給されているのは水のようだ。円の筒が横にずっりと並んだ湯口からは熱めの湯が注がれている。浴槽に満たされているのは黒い湯だ。

指を湯面下に沈めるが指先は見えない。透明度はないに等しい。身を沈めると包まれている浴感を覚える。やや熱めだ。手に救うと臭いを感じる。例えようのない個性を持った臭だ。何か生薬の一種にでもありそうな臭いだ。唇に触れる限りにおいてこれといった味を湯から獲得することはできない。




掲示によれば循環式だが、浴槽からは少量の湯が洗い場へ流れ去っていく。洗い場には白湯が供給されている。黒湯は浴槽にのみ供給されいるようだ。

浴場がある1階のロビー奥にはテーブルと椅子が置かれた場所がある。お冷のサービスを受けることができる。壁には古い写真の複製が掲示されている。長い歳月、蒲田で温泉宿を経営していたことが窺える。




壁の写真を眺め湯上りの冷水でほてりを冷ましながら過ごしていると、アナログ時代に戻れるような気がした。


蒲田黒湯温泉 ホテル末広
東京都大田区蒲田8-1-5
03(3734)6561 HP
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉
17.4℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯
1100円
6:00~9:00・12:00~24:00
2016/7/30

伊香保温泉 柏屋旅館

伊香保温泉の長い石段が賑わいを増すあたり、古びた木造3階建ての宿が石段に沿い建っています。
開け放たれた玄関から声をかけると、普段着の初老の女性が出てこられました。入浴の旨を伝えると快諾。




浴場は左手奥です。変形の脱衣所は狭隘で、複数の人が同時に利用するのは厳しい広さです。戸を開けると浴室。



窓辺に面してはいるものの、昼下がりの浴室内はやや暗く、長い時間を刻んだ印象を受けます。床のタイル、浴槽のタイル、壁のタイルはそれぞれの原色を失い、温泉成分がその原因者であることをうかがわせます。
浴室は、家庭用より少しばかり広い程度の空間です。



湯口はヒョウタンの焼き物の下にあり、絶えず供給されています。




湯は薄く土色に濁り適温、浴槽の底は見えません。口に含むと酸味を感じます。
浴槽は手 前が湾曲し、淵は土色に変色し侵食されています。少し開けた窓からは、通りを歩く観光客の声が聞こえてきます。




湯上り、「2階にお茶を用意しています。どうぞ」と温かい声、お茶とお菓子をごちそうになりました。



2階は石段に面していて、開け放たれた窓からは貰い風が入り込んできます。額の汗はいつの間にか消えていきます。


伊香保温泉 柏屋旅館
群馬県渋川市伊香保町伊香保12
0279(72)2050 HP
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉(総合湯)
41.6℃
シャンプー類あり
内湯
500円(貸切で利用)
営業時間要確認
2014/7/20